となりのロンドン婦人4 英国流ユーモア!?
大きなお腹の妊婦で、2歳と6歳も連れて
バルセロナからやってきた私を
隣人のマルシアさんは気にかけてくれているようだった。
でも彼女はどこか凛としたところがあって、
べたべたした付き合いのしない人のようであったから
特にお茶に行き来する~ということもなく、
庭先で会えば挨拶して会話したりする程度。
ゴミ出しの時なんかは、
前庭の先の路上に出すので会いやすい。
互いにスッピンでどうもと(笑)
私が大きなお腹で
瓶や缶のボックスを引きずって出すさまを見て、
大丈夫なの?と聞かれたことがあった。
当時、夫は国外に出張することが多く、
月曜日にスーツケースもって旅立ち、
金曜の夜中に帰宅ということがしょっちゅうだった。
彼にはゴミ出しもできないわけである。
連結型戸建てのこの界隈は一軒一軒の前に指定のゴミを各自が出す。
瓶ゴミなんてためてあるので、かなり重いのだ。
きつねなどに荒らされてはいけないので、
ゴミは出しっぱなしにはできず、裏庭のガレージにしまっていた。
そこから持ってきて、部屋の中を通り、前庭の先の路上に出すのは
結構な体力がいるのだった。
来た当初は、
ネットスーパーを使用しておらず(いとしのOcado♪)、
マルシアおばあちゃんは、
ベビーカーに息子を乗せ、下に飲料やら食材をつっこみ、
両ハンドルにおむつをぶらさげ、
石畳をがくんがくん言わせながら
えっこらせえっこらせとベビーカーを押している私を見たかも知れない。
出産後は、
夫の2週間の夏休みがあったが、
その後も親族の手伝いなどはなく、
毎朝、持ち運びチャイルドシートに新生児を入れて、
時に玄関先での赤子の粗相にひゃーと言いながら、
園児に支度させ、ばたばたと運転して出るさまや、
長女の友人たちをうちで遊ばせるさまも見たかも知れない。
産後、階段から落ちて尾てい骨骨折し、
玄関の段差をひ~っと痛みに耐えながら
ドア枠にぶら下がるように上っていた日も見たかもしれない。
(↑このやらかした話はまた今度)
子どもの送迎に使っている路上駐車のマイカーが
ゴミ収集車に何度も当てられて、
そのことで目撃談を聞きに行ったこともあるし、
ついにある日、
サイドミラーがぶらーんと垂れ下がっているのを
「もー!間に合わん!」と
ガムテープでぐるぐる巻きにして学校へ向かうさまも見たかもしれない。
そんなドタバタな私の姿を
ちょいちょい見ていたであろうマルシアおばあちゃん。
ある日、我が家の玄関先で、
マルシアおばあちゃんと
夫と私の3人で会話する機会があった。
マ:「彼女(私のこと)は
外国で1人で3人育てているなんて
ほんとにBraveとしか言えないわ」
夫:「そうですねえ」
マ:「しかもあなたはしょっちゅうBusiness Tripなんでしょう」
夫:「えーはい。そうなんです」
マ:(私を見て)
「ねえ、この男性にあなたがそれだけのことをする
価値があるのかしら?」
私:「・・・・・そうであることを期待します」
(おどけて)
夫:「・・・・」
(顔が引きつる)
一瞬凍り付いた我が夫。
その雰囲気を察して、
マルシアおばあちゃんは笑って言った。
マ:「あらやだ。
これはブリティッシュ・ユーモアってやつよ。
気にしないで」
夫:「あはは・・・」
「いや~マルシアおばあちゃん
すごい球投げてきたね~!」
と夫をなぐさめ?つつ、
妙に元気になった私は
どこかスカッとしていたのかもしれない。
いや、間違いなくスカッとしていた。
妊娠・出産・家事・育児!
大変やねんぞーーーー!!!!
と夫に叫びたい気持ちを
ロンドン婦人がチクりとやってくれたようだった。
でもよく考えると、
私への問題提起だったようにも聞こえる。
サウスケンジントン生まれの生粋のロンドナー
マルシアおばあちゃん。
さすが毒が効いてました(笑)