3児のママが見たヨーロッパ

バルセロナ・ロンドン・パリで暮らしてきた3児の母からの欧州の風便り。長年の主婦生活で抱えていたいらいら&もやもやをコーチングがきっかけで払拭。あなたはあなたのままでいい。みんなちがってみんないい。一緒に「よい母親」より「幸せな母親」になりましょう。

となりのロンドン婦人3「あやまらないで」

同じUKに勤務している友人家族を

ウェールズからロンドンの自宅に迎えたある日、

我が家の裏庭ではお決まりのバーベキュー。

大人同士はビール片手におしゃべりしながら

切ったり塩ふったり焼いたりつまんだり。

 

 

子どもたちはテレビゲームで大盛り上がり。

焼けたらダーッときて食べる。

満腹になったらまたソファーにダーッと戻る。 

 

 

陽は長くまだまだ明るい。

あーたのしい!

 

 

親も子も楽しい最高の夜を過ごした翌日、

隣のマルシアおばあちゃんと庭先で会った。

 

 

「昨日はだれか来ていたの?」

 

 

(ハッ、、きっとうるさかったんだ!)

 

 

咄嗟にそう思った私は、

 

 

「あ、、そうなんです。

 ウェールズから友人家族が来ていて。

 うるさくしてごめんなさい」

 

 

と謝った。

すると、彼女はこう言った。

 

 

 

 「No,no,no!やめてちょうだい!

 楽しそうだなあと思って私までうれしい気持ちでいたの。

 そんな風に謝ってほしくないわ」

 

  

 

へ・・・!!?

 

 

 

そうだったのか。

予想外の答えだった。

きっと怒られるんだと思い、

反射的に謝ってしまった自分がいた。

 

 

 

あやまる私に「そういう風に思ってほしくない」と

ぴしゃっと言ったおばあちゃん。

他意のない彼女の言葉に

先回りして反応してしまったことは失礼ですらあった。 

 

 

彼女のおおらかさを感じた出来事は

他にもあった。

 

  

夏休みのとある夕暮れ時に

近所の家から大音響の音楽が聞こえてきた。

そんなことは初めてだった。

なにかのイベント?

ちょっとムーディで洒落た大人の音楽で悪くない。

 

 

音源はどこだろうと思ったら、

3軒先にある若者がルームシェアをしている家からであった。

どうも庭でパーティが始まるらしい。

 

 

その翌朝。

マルシアおばあちゃんは私にこう声をかけてきた。

 

 

「ねえ、昨夜の音楽きいた?」

 

 

「ええ、結構大きな音でしたよね」

 

 

隣人の苦情を聞く準備をしていたら 

マルシアおばあちゃんは宙を見上げ、

今、音楽を聞いているかのようなうっとりした表情で言った。

 

 

「とってもよかったわよね~

 夏がきたって感じがしたわ~」

 

 

ご近所からの夜間の音に対して、

こんな風に反応する一人住まいの女性を

私は素敵だと思った。

 

 

 

その夜、マルシアおばあちゃんの家から

珍しく大きなボリュームで音楽が聞こえてきた。

しかも結構ファンキーな曲じゃないか。

意外すぎる・・

私はくすっと笑った。

 

 

 

一見、堅物の校長先生みたいな彼女が

のりのりでリズムをとっている姿を想像できた。

 

 

 

うん。マルシアおばあちゃんの言う通りだ。

彼女がたのしそうなのを想像して私までにこにこしていた。

人が幸せそうってこっちまでうれしいもんなんだな。

 

 

 

騒音としてとらえることもできた夜の音楽。

それを楽しんでいたことを教えてくれたマルシアおばあちゃん。

 

 

「自分の人生をちゃんと楽しんでいるから、

 人が人生を楽しんでいることも尊重できる」

 

 

そんなことを教えてもらった気がするのだ。