3児のママが見たヨーロッパ

バルセロナ・ロンドン・パリで暮らしてきた3児の母からの欧州の風便り。長年の主婦生活で抱えていたいらいら&もやもやをコーチングがきっかけで払拭。あなたはあなたのままでいい。みんなちがってみんないい。一緒に「よい母親」より「幸せな母親」になりましょう。

1人目出産後に痛烈に感じたこと

子どもを産んでみるまでは、

「子どもに虐待をする人はじぶんとは違うタイプの人間だ」

と心のどこかで思っていた。

そういう人は川のあちら側に住んでいて、

自分とは縁のない人たちだと。

 

 

 

でも一人目の妊娠・出産・育児を経験してから

考え方はまるっきり変わった。

 

 

 

出産はきれいごとではなく、

不慣れで無知だった分尚更きつかったし、

産後は別人のような身体の状態だった。

 

 

 

お腹がすぐ元に戻らないことをつっこまれても

アハハくらいは言えたが、

実際の生活はというと、

股の傷がひどくてトイレにいっても痛いし、

そもそも椅子にはまともに座れない。

(一人目だけだったが、円座必須でした)

 

 

 

授乳って幸せな光景だと思っていたのに、

赤ちゃんは頭蓋骨の形にも飲み方にも個性があって、

お母さんと息を合わせていくには時間がかかる。

こちらも赤ちゃんが満足するだけの量がいきなりは出ないために

真夏に1日10数回も頻回の授乳で

それだけでもくたくた。

 

 

 

夜中の赤ちゃんの泣き声で

深~い睡眠の底の方から幾度となくハッと呼び戻される。

夜中に実家の布団の上で正座しながら授乳していたら、

疲れと睡魔に負けて、うとうとしてしまい、

気づいたら腕がほどけて

娘が落ちかかっていたこともあったっけ。

 

 

 

ホルモンの関係か感情の浮き沈みが激しく、

ちょっとしたことで泣きたくなる心。

全く本調子でない疲れきった身体。

でも目の前の赤ちゃんは生きていくために

私を常に求めている。

 

 

 

その時、つくづく思ったのだ。

 

 

 

そうか虐待してしまう人たちは

わたしの延長線上にいるんだ、と。

他人事ではなかった。

 

 

 

私は実家で赤ちゃんに専念できるように

家事を母に任せてご飯もつくってもらっている。

明日の生活にも困らない。

そして自分で言うのもなんだが、

年の離れた弟の世話もしてきたし、

結構“お母さん向きのタイプ”だと思っていたのだ。 

 

 

 

けれど、そんな私ですら、こんなけきつい。

今なら想像力をうんとたくましくすることができた。

もし。

もしもだ。

 

 

 

過酷な難産で人一倍身体が疲れていたら?

「こどもを泣かせるんじゃねえよ!」とか

「さっさと飯をつくれ!」

なんて暴言吐くような夫が家にいたら?

シングルマザーで経済的に困りきってミルクも買えず、

おっぱいも十分に出なかったら?

自分自身が愛情をかけてもらった記憶がなく、

赤ちゃんとどう向き合えばよいか分からず混乱していたとしたら?

きびしい精神状態なのに一人も話し相手がいなかったら?

そんなとき、赤ちゃんがぎゃーぎゃーと泣きだしたら? 

 

 

 

産後の不安定でもろい心身のときに

どこまでも追い詰められたら

私だって弱い子どもに手をかけるかもしれない。

もしくは自分をどうかしてしまうかもしれない。

あの頃、そうありありと思えたのだった。

 

 

 

そう思うとニュースの見方も変わった。

「ひどい人がいるなあ」から

「どうしてこのお母さんはここまで追い詰められてしまったのだろう」

と思うようになった。背景を知りたくなった。

 

 

 

元気な心身では考えられないような状況が

産後にやってくることがある。

 

 

 

それを男女ともに知っておくべきだし、

そういう状況のお母さんをサポートする環境を

つくっていくことが大切だと思う。

 

 

 

実家から自宅に戻ったころ、

市から派遣された助産師さんが一か月検診にやってきた。

授乳のことでずっと悩んでいた私は

助産師さんが慣れた手つきで娘を抱いてくれて、

よく育ってるって言ってくれたとき、

安心して泣いてしまった。

 

 

 

すると彼女はこういった。

「一か月検診に行くと、泣かれるお母さんは多いです」

 

 

 

どのお母さんも人には言えない気持ちや

悩み事を持ちながら一人で格闘していたんだろう。

つながりがあれば救われることは多い。

 

 

 

以前のニュースで驚いたが、

妊産婦の死亡理由の1位は、なんと自殺だ。

特に産後1年未満の女性が多く、

さらに初産の女性、

35歳以上の高齢出産の女性の率が高いそう。

 

 

 

産院から退院したら終わりではなく、

特に初産の産後の女性をしっかり見守るシステムが

日本にできてほしい。そう思います。

 

 

 

 

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