となりのロンドン婦人2 庭より始めよ
イングリッシュガーデンを誇るイギリスだけあって、
ご近所さんたちの庭はそれぞれにすてきで。
特に渡英したのが6月だったので、
え、、薔薇ってこんなにどこでもあるの??ってくらい
どの家からも色とりどりのバラが咲き乱れる事態。
子どもの学校送迎の帰り道などは
石畳を長男のベビーカーを押しながら、
大きなお腹のために休み休み、
各家庭の庭で目の保養しながら歩いていたのを思い出す。
西ロンドンの景観保護地区であるこのエリアは、
シェークスピアの時代を彷彿とさせる「モックチューダー朝」と呼ばれる
築90年以上の家が立ち並んでいる。
外観を勝手に変えてはいけないので、
個人宅も集合住宅もレトロな雰囲気で統一されており、
緑地の芝生の管理もすばらしく、
その光景は、時におとぎの国に迷い込んだような錯覚さえ覚えたものだ。
なので・・・
空き家は一目で分かる。
庭がボーボーだからだ。
私たちの新居もしばらく空いていたわけで、
確かにうーーーん。
手入れされた周りの庭と比べると、
浮いている・・・
前庭の芝生は伸び切った状態で長さもまちまち、
裏庭の薔薇もそれはそれは大きな花だったが、
茎が長すぎて不格好なようでもあった。
芝刈り機をした方がいいよな~
てか、これって雑草??それとも植えてあるやつ??
なんて園芸ド素人の会話を夫婦でしていると、
隣人のマルシアおばあちゃんがさっとやって来て言った。
「庭はどういう予定かしら?
手入れの道具は持っているの?
なかったらうちのを何でも貸すから言ってちょうだい」
あはは。
こりゃ、暗に「汚いから早くきれいにして」ってことだな。
部屋を片付け終わる前に、庭からか。
かくしてガレージから引っ張り出してきた芝刈り機が始動。
ウェールズから引越しの手伝いに来てくれていた
会社の同僚Aさんは芝刈り係となったのでした。
その後Aさんから聞いたのは、
イギリス人にとって「前庭はその家の顔だ」ということ。
日本人は大きな裏庭の手入れを先にやりがちなのだが、
順番としては前庭からなんだと。
なるほど。
彼らにとってはまず整えるべき場所なんだな。
コミュニティの一員になるという意味でもそうなんだろう。
それにしてもマルシアおばあちゃんが
機を逃さず、すかさずやって来た姿は印象的だった。
ありゃ家から見てたな(笑)