3児のママが見たヨーロッパ

バルセロナ・ロンドン・パリで暮らしてきた3児の母からの欧州の風便り。長年の主婦生活で抱えていたいらいら&もやもやをコーチングがきっかけで払拭。あなたはあなたのままでいい。みんなちがってみんないい。一緒に「よい母親」より「幸せな母親」になりましょう。

バルセロナは真っ青、ロンドンはコッペパン、パリはいつもグレー

バルセロナ → 常夏

ロンドン → 雨

パリ → 晴れたり曇ったり

 

それが欧州へ引っ越してくる前の、天気に関する勝手なイメージだった。

でも実際は・・・

 

バルセロナ →たいてい真っ青の空、たまーに雨季、冬は普通に寒い。

ロンドン→雨が降るには降るが、大粒ではなくすぐ止む。雨上がりの空が最高。

パリ→基本空はグレー。いつもグレー。そして結構雨も降る。晴れるとおお!と思う。

 

こんな感じ。

 

3月にバルセロナに向けて日本を発つとき、暖かいだろうと思い込み、

冬のコート類を船便に入れてしまい大失敗。

着たいと思っても、2か月間は届かない。 

 

娘の学校のお母さんに

「あなたは今日お店に行くべきね。上着を買いに」

とアドバイスされる始末。。

 

でもあのぴーかんの青空は、

もうそれだけで幸せ!!!っていうくらい本当に気持ちよく、

朝からやる気がみなぎったものだ。

行動を後押ししてくれる天気。

前向きでゆったりした気持ちでいることを後押ししてくれる天気。

天気によって、この国の人たちの性格ができているよなあってつくづく感じた。

洗濯物もあっという間に乾く。

 

ところ変わって、ロンドン。

6月に渡英したところ、口々に「いい季節に来たね」と言われた。

住むことにした家の裏庭は、長らく手入れされていないにも関わらず、

それはそれは立派な赤いバラがポコポコ咲いていた。

ご近所の庭々も、色とりどり。歩くだけで楽しい。

 

イングリッシュガーデンを誇るイギリスだけあって、

雨も植物がよく育つ降り方をしていると思う。

雨は頻度が高いかもしれないが、降水量でいうと東京の比ではない。

霧雨~小雨程度のものがしばらく降ってさっと止む。

この雨と雨の小休止のあいだに、庭の植物もにょきにょき伸びる。

本当にぎょっとおそろしく感じるほどに成長するのだ・・・

 

雨上がりには、クリアな空に虹がかかることがよくあった。

濡れた芝生や葉のにおいを嗅ぎながら、ベビーカーを押し、

レトロな住宅街をのんびり歩くのは悪くない散歩であった。

雨雨というけれど「雨上がりの美しさ」というおまけがある国。

 

あと、ロンドンの空は雲が面白い。

コッペパンのような形の雲が、空の低いところにたくさん浮んでいる。

それは脳内イメージの中の、ザ西洋画の空なのだ。

子どもたちが車窓から「絵みたいなくも~」とよく言っていた。

ロンドンの空は見飽きないのである。

 

もう一つ、イギリスに滞在したら注目は、朝の天気予報。

一日の中にすべての天気が入っているといわれているイギリス。

バルセロナの天気予報は、おおむね晴れマークでさっと終わるのだが(笑)

イギリスの天気予報は違う。

もう芝居仕立て。

どこからどう風が吹いて、いつ風向きが変わるのか、

どの時間帯から日が差してくるのか。

雨はどんな種類の雨なのか(雨の英語表現がたくさんある)。

キャスターが膝の上下運動や、両手の大きな動きによって、

全身でイギリスの一日の天気を教えてくれるのである。

 

そして、今日は一日中晴れます!という珍しい日には、

外からの中継も、お祭り騒ぎ。

「見てください!この空を!完全にすばらしい!

 今日は完ぺきな一日になりますよ!!」

と叫びまくるのである。喜びがあふれている。

 

パリ。

パリはいっつもグレーだ。それがパリの基本形。

ここのところ欧州一ひどいと言われている大気汚染のせいでもあるのか、

よく分からない。

空気が流れにくい土地のようで、もやもやーーっとしている。

住んでいるあたりには豊かな緑もないので、

目に入るのは、家々とグレーの空である。

 

どんよりとした空というのは実にテンションが下がるが、

パリのすごさは、このいけてないグレーの空と石造りの建物だけでもなお、

はっとする美しさを感じさせるところだ。

(路上の汚さはおいておいて・・・)

 

日本に住んでいたころ、お天気の悪い日に街中を歩いていて、

おお美しい!と感動するという経験はしたことがなかった。

 

パリの街並みを天気が悪くても美しいと感じるのは、

まさにそれこそ「芸術の力」なのだろう。

 

欝々とした空の下にたたずむ物憂げな彫刻、 

橋げたを支える女神、

連なるアパルトマンに陰影を与える繊細なアイアンの門やバルコニー。

美しいシルエットの堂々たる街燈。

 

お天気がなにか?

そんな感じ。

 

芸術が美術館に入っているのはなく、

街に息づいている。

 

どんよりした空すら、その芸術をより浮き立たせる

「効果的な背景」のようにすら思えてしまうのだからすごい。

 

パリの人が黒ばっかり着るのは、

この街の景観を邪魔しないためなのか?(とすら勘ぐる)

 

 

ただ、こういった天気の問題点は、

陽射しが少ないことによるビタミンD欠乏。

私を含め、お友達もよくお医者さんに指摘されている。

ビタミンは関係ないのかもしれないが、

ロンドンにしてもパリにしても暗い時間が長い秋冬は

とくに気分も滅入る・・・

 

そういえば、バルセロナの海には、

ドイツやイギリス、ロシアから来たであろう人たちが寝そべって焼いていたが、

あれは健康上必要なのだろう。

心と体が猛烈に陽射しを欲しているのだと思う。

 

陽射しの少ない街に来て共通の風物詩は、

太陽がばーっと出ると、

「今だ!」とばかりに誰もが芝生に寝転んで焼く光景である。

 お年寄りは公園のベンチに腰掛け、

若者はできるだけ肌を出して芝生に寝転んでいる。

 

日本人にとっての温泉と一緒だ!と私は思っている。

実際にしばらく太陽を浴びると、体内がほっと充電された感覚があるのだ。

そう、こちらの人たちはお湯ではなく、太陽に癒されているのである。