無痛分娩か自然分娩か@日本
9年前の1人目の出産は、
当時住んでいた家から最寄りの産院だった。
それがたまたま、日本では珍しく無痛分娩を薦める産院で、
無痛で産みたい妊婦さんが遠くからもやってきているようだった。
この産院の看板には、
各種分娩方法取り扱いと書いてあり、
無痛分娩も自然分娩もどちらを選ぶのも本人の自由、ということだった。
そして、いざ出産方法の決定日。
診察は院長先生だった。
「で、出産方法は?」
と聞かれ、
「自然分娩してみたいと思っています」
と答えたところ、
彼は私の目も見ずに言った。
「君は、歯医者で歯を抜くときも麻酔しないんですかあ?
よく考えた方がいいよ」
えええ??出産と抜歯が一緒??
妊婦決死の覚悟に対し、
衝撃のツッコミをもらい、おそってくる不快感と嫌悪感。
しばし呆然としたことを覚えている。
きっと、無痛を売りにした産院なのに、
それを選ばない私にちくりと言いたかったのだろう。
でも「選択自由」と謳っているのは確かなのだ。
いざ一人目の出産に挑み、
陣痛がますます耐えがたく辛くなってくるとき、
ああなぜ無痛にしなかったのか?と一瞬よぎるのだが(笑)
私が無痛を選ばなかったのは、
無痛にすることの抵抗感とか、
やはりお腹痛めてこそ、という価値観からでもない。
単に、
赤ちゃんが出てきたいと思った時に、出てきてほしいな
と思ったからだった。
というのも、
無痛分娩に欠かせない麻酔科医が
24時間365日体制で待機している産院は
日本にはそうそうなく、
産気づいてから無痛分娩を行う体制ができていないのだ。
ちなみに、
欧米では、その医療体制により、
産院がある程度の規模の病院に集約され、
麻酔科医が常駐している。
そのため、自然に産気づいて産院に駆け込んでからでも
無痛を選択するというスタイルが可能となる。
(副院長先生の両親学級でのお話しより)
でも、日本では、一部をのぞき、そのような体制がとれない。
ちなみに、この産院では、
麻酔科医の常駐日が月~金。
お産が長引く可能性を考慮し、月~木曜日が出産予定日とされた。
つまり、お産が誘発されやすいように子宮口にバルーンを装着したり、
陣痛促進剤を打つ日が事前に計画され、
当日か翌日には無痛で出産できるというわけである。
(計画無痛分娩と呼ばれる)
この方法だと、出産予定日が分かるので、
ご主人も休みをとって付き添いしやすかったり、
無痛もうまくいけば本当に楽だったと聞くので
病気を抱えていたり、体力のない人なども
産後の体力が温存されるなどよさがあると思う。
赤ちゃんが出てきたいとき、つまり産気づいた時に、
無痛分娩を選択できるというなら、それを選んでいたかも?しれないなあ。
というわけで、
私の無痛分娩推奨産院での自然分娩が決定した。