3児のママが見たヨーロッパ

バルセロナ・ロンドン・パリで暮らしてきた3児の母からの欧州の風便り。長年の主婦生活で抱えていたいらいら&もやもやをコーチングがきっかけで払拭。あなたはあなたのままでいい。みんなちがってみんないい。一緒に「よい母親」より「幸せな母親」になりましょう。

パリが大嫌いなおじさんの話1

パリの自宅マンションのエレベーターで

よく乗り合わせるおじさんがいる。

 

おじさんは私よりはだいぶ年上で、

目を合わせて柔和に挨拶してくれる人だった。

乗り合わせた足の悪いおじいちゃんに手を貸したり、

年上のマダムに丁寧に挨拶したり、

いつも紳士的だ。

 

どうみても外人さんなのだが、

雰囲気がどこか日本的な感じのある人で、

おしゃべりな私は、

話しかけてみたいなあと常々思っていた。

 

だが、まるでフランス語ができないし、

たぶん彼も英語はできないんだよなと勝手に思っていたので、

ほぼ2年、エレベーターの中では、

最低限の挨拶と笑顔を交わすだけ。

でもお互いにシンパシーを感じているのは分かった。

 

2年間でした会話は、

 

「今日はさむいね」

「ほんとに!」

 

「今日はあついね」

「あつすぎますね!」

 

「これは僕の弟なんだ。弟なのにぼくより大きいだろ」

「(笑)」

 

 

それくらい(笑)

 

 

である日。

乗り合わせていた人と私がしゃべっているのを見たか

なにかの拍子に、

 

「君は英語を話すの?」

 

と聞かれ、

「はい、まあ」というと、

おじさんの目は光った。

 

 

「なーんだ。そうだったのか!」

 

「君はパリに住んでどれくらい?」

 

 

から始まり、そこからは話しまくる。

 

 

「僕はカリフォルニアに24年住んでいたんだ」

 

「わーそうなんですね!太陽が恋しいのでは?」

 

「そのとおりだ。パリのこの天気を見てごらん。

 毎日毎日、空は暗いし、ひどくさむい。

 ぼくはカリフォルニアが恋しくてたまらない。

 それにね、あっちでは、

 エレベーターで知らない人同士でもいろいろ話すんだよ。

 でも、パリではどうだい?こっちではツンだろ?

 人間が全然オープンマインドじゃない」

 

 

2年分、と言わんばかりに

突如としてしゃべり出すおじさん。

一緒に外に歩き出す。

 

 

「君はどこから来たの?パリは好きかい?」

 

「日本です。パリ・・あ、ああはい」

 

(ほんとに??!の表情)

 

 

そして言い放った。

 

 

‟ I  HATE PARIS! ”

 

 

今度は私の方がおどろく。

 

 

「え、、、好きじゃないんですね?

 あ、、、でもそれでもBeautifulな街ですよね?」

 

 

「君はほんとにそう思う?

 僕はそうとも思わないよ。

 観光に来ればいいところかも知れないけど、

 住むには最低だよ」 

 

 

あの柔和で紳士的なおじさんから、

スカッとするほどの思いっきりネガティブな発言を聞いて、

正直面くらっていた。

 

 

よっぽどパリが嫌いなんだな。

それだけは分かった。

 

 

つづく。

 

 

*全3回。2話目はこちらからも↓

tomo-rainbow.hatenablog.com