はじめてのお産 3 やる気スイッチ
いよいよ、分娩台にのり、その時を迎えたときに、
早朝出勤組の助産師さんがわさわさとやってきた。
さっきまで助産師さん一人いるかいないかだったのに、
若い方、ベテランそうな方含め、
そりゃもうわっさわさやってきて、笑顔で私を取り囲み、
「さあ!がんばろう!」
「大丈夫よーできるできる!」
「あとちょっとよー」
とか次々に声をかけられる。
まっくらで孤独な夜を経て、大注目を浴びる朝。
耐えるのではなく、産むという行為に向える朝。
みなさんのテンション。それだけでもう産まれそうである。
はい。完全にやる気スイッチ入りました!!!(笑)
よっしゃー!赤ちゃん。あなたもがんばったねえ。
お母さんと一緒に力を合わせてあとちょっとがんばろうね!
アドレナリン効果でもう痛いとか全然思わなかった。
どうにか呼吸を合わせていきんでうまく出してあげたい。
それだけだった。
「そうそう上手上手」
「いいよいいよ」
これって魔法の言葉。
力がどんどん湧いてくる。
数回いきんだら、
おなかにベテランらしき助産師さんが乗っている気がした。
吸引しますと聞こえた気がした。
フギャー!!
グレーのような赤黒いような赤ちゃんが
大きく大きくめいっぱい手を広げて、
私のおなかの上にやってきた。