3児のママが見たヨーロッパ

バルセロナ・ロンドン・パリで暮らしてきた3児の母からの欧州の風便り。長年の主婦生活で抱えていたいらいら&もやもやをコーチングがきっかけで払拭。あなたはあなたのままでいい。みんなちがってみんないい。一緒に「よい母親」より「幸せな母親」になりましょう。

はじめてのお産 2 がっちがちやぞー

痛みを呼吸でなんとか流そうとして、深く呼吸をしすぎた。

手がしびれ、呼吸が苦しい。

やばい、これは過呼吸だな。

 

夫にビニール袋をもらうように依頼。

母が昔なって救急車で運ばれたのを見ていたから、

どうすべきかよく知っていた。

自分の吐いた息を自分で吸って落ち着かせなければ。

この人生最大のイベントで、

過呼吸なんかにかまけているわけにはいかないのだ!

 

小刻みに震える手で、なんとかビニールをつかみ、口に当てる。

はああああああ。。。

多少落ち着いたのもつかの間、次は腰が砕けるような波がやってくる。

 

これからが本番というのに、

すでに全身が震えるほどがっちがちであった。

 

なんてこった。もっと上手く産むつもりだったのに。。。

 

ベッド上でどういう体勢をしたら楽なのか?なんてことは

まったく分からなかった。どっち向いても痛い。

どうしたらいいのかわからない。結果、寝っぱなし。

ど素人の夫と二人。

 

ああタイムスリップして教えてあげたい。

バランスボールに座ってみなって。

 

痛くなったら夫の腕とかもうどこかも忘れたが、

ギューーー!!とひねりあげていた気がする。

陣痛とはよくできていて、波と波の合間にしばし生き返ることができる。

でも、もう次の波が来るのが怖すぎた。。

 

こんな風にベッドにずーっと寝たまま痛みに耐えるシーンを見せたら、

私が第三子を産んだロンドンの助産師さんに叱られるだろう。

なにやってるの?寝ててお産が進むと思うの?

Gravity(重力)よ!Gravity!

そう言われそうである。

 

でもこの時の私には、座るとか、歩くとか、階段を登るとかそんな選択肢はなかった。

どうしたらいいのか分からないし、誰もいないし、痛いから動けないし、

という感じだった。

 

波の感覚が短くなり、いよいよという感じで、助産師さんが来た。

 

「うん、いいかんじよーいいよー」 

 

あったかい手で腰をゆっくり、でも強くしっかりさすってくれる。

 

うわわーーー 痛みがひくーーーーー癒されるーーーー

天国だった。

 

今まで夫がそばにいてくれた。さすってもくれた。

今言おう。そこじゃない!

 

なんという違いだろう。

なんという癒しだろう。

この人がずっと横にいてくれたらどんなに心強かっただろう。

安心して泣きたい気持ちになった。

 

夢にまで見た早朝になり、

私は「栄光の分娩室」に移動することになった。

痛みがひいている少しの間にいざ移動だ!

 

よっしゃやったるでー!

立ち上がって数歩歩くと、、、

 

ドッシャーン!!

 

と自分の体内から大量の水分が出た。

それはまるで、体内で水がたっぷり入ったバケツが一気にひっくり返った感じ。

 

破水(ハスイ)

 

そんな基本的な言葉もぶっ飛ぶくらいの衝撃。

な、、なに??何が起こったの?これって大丈夫ですか??

ワ、ワタシ、ダイジョブですか?

まさに腰が抜けそうになり「ああああああ」と声を出したら

それが相当まぬけだったらしく、夫が笑いをこらえている。

おのれー。

 

やっとの思いで分娩台にたどりついき、

寝そべった。

 

そして、助産師さんは言った。

 

「ここに足をあげてください」

 

「へ??」

 

テレビなんかでも見たことのある足を支える台が左右に見える。

でもなんて高く遠いんだ。

もうエベレストみたいに思えるのだ。

 

この状態であんな高いところに足を上げる??

もう泣きたい。

でももうちょっとで毎日語りかけてきた赤ちゃんに会えるんだ。

さあ、登るんだ!!あの足のせ台へ!!!