たくみお姉さんの歌が教えてくれたこと
バルセロナに渡航して1年くらい経って、
ふと「おかあさんといっしょ」のCDをつけた。
そして聞こえてきた、たくみお姉さんの歌声。
♪やさしいこえが さあおいで~♪♪
な、なんだろう、この繊細で可憐な音は。
日本で長女を育ててるときに何度も聞いたはずなのに、
全く違うもののようだった。
それではっとした。
渡航して一年。家でも外でもスペイン語漬け。
そのせいで「私の耳」が一瞬、たくみお姉さんの歌声を
初めて聞く外国語のようにとらえたのだった。
それはまるで日本語を初めて聞いたスペイン人状態??
「さ」とか「く」とか「ち」とか、いちいち繊細できれいな音だ。
「ささのはさーらさらー♪」とか言われた日には、もう卒倒しそうである。
スペイン語は基本、結構ベターっと発音するし、巻き舌もある。
その濃い発音に慣れた後に聞くと、お茶漬けのようにさらさらしている日本語。
へー、そうだったのか。
抑揚がないといわれる日本語だけど、
日本語の響きの美しさってこのことだったんだあ。
たしか、アナ雪主題歌の多言語バージョンで
松たか子さんの日本パートが人気だった理由も
日本語の響きだったよなあ。
たまには日本語の響きを味わって話してみよっと。
スペイン語の太陽みたいな明るい音も
フランス語のもしょもしょするエレガントな響きも、
英語の滑らかな音も、それぞれに素敵だけども。
日本語はそのどれとも違う繊細な可憐な音だ。
日本語が外国語に聞こえたのは、
あとにも先にもその日だけ起きた不思議な体験だった。
外に出ると分かる日本のことって色々ある。